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小学校のプログラミング教育って、結局どんなことをするの?

2020年度より、小学校でのプログラミング教育が始まります。しかし、実際はどのようなことをどのように学ぶのか、しっかりとイメージ出来ていない方も多いのではないでしょうか。

そこで、どうしてプログラミング教育が必要なのか、プログラミング教育でどのようなことを習得できるのか、東京都の取り組みや文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引」の内容を紹介しながらみていきましょう。

なぜ小学校でプログラミング教育をはじめとした情報分野の教育が大切か

情報教育のあゆみ

情報教育が普通科の高校で教科として取り入れられたのは2003年度のことで、情報活用の実践力や情報を収集・処理・発信する力を付けていくことなどが目的とされ、教科として設定されました。

近年はスマートフォンやスマートスピーカーなど、ITにコミュニケーションの要素を含めたICTが定着している点から、小学校においても総合や各教科の授業内で情報機器を使用して調べ物を行ったり、ソフトを使用して操作を習得したりする手法が取り入れられてきました。

そして2020年度からは小学校で本格的にプログラミング教育が始まります。今までは情報教育は家庭の方針任せだったところもありますが、これからは学校教育の中でやっていこうという趣旨で学習指導要領に組み込まれることとなりました。

「SNS東京ノート」を用いた東京都の取り組み

小学校の高学年になると、LINEなどのSNSを通じたトラブルやいじめが報告され始めます。これは、複雑化・高機能化するスマートフォンの使用について、家庭だけでは対処しきれていない現状を示しています。

東京都では、「SNS東京ノート」という冊子を用意し、メディアリテラシー(たくさんの情報から必要なもの、正しいものを見極めて使いこなす力)を育てるきっかけを作っています。

ノートの中は、自分が発信した情報や相手に伝えたことが、どのように受け取られているか、スマートフォンの使い過ぎについてなどを考える内容になっています。巻末には家庭でのルールを決めるページや、スマートフォンやSNS、動画サイトなどの利用時間についての資料が入っており、学校で学んだことを踏まえて、家庭でもスマートフォンやSNSの使用について、今一度考えるツールとなっています。

スマートフォンの利用については、はじめは利用のルールを決めていたとしても、友人との連絡で使用していたり、学習に関する調べものに使っていたりすると利用時間は長くなり、家庭でもルールが守られているかの確認も難しくなってきます。学校やクラスの仲間と利用についてのルールを確認しあうことで、適正な使用を周知することができます。

人工知能を使いこなす人材になるために

プログラミング教育のねらい

2.プログラムの働きや良さ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと、

引用:小学校プログラミング教育の手引(第二版)

プログラミング教育を通じて、子どもたち自身が今の生活が便利なのは情報技術の発達によるものだと気付くこと、上手にコンピュータ等を活用してより良い社会を気付いていこうとする態度を育むこともねらいのひとつとされています。

昨今は、子どもたちがコンピュータを用いて情報を活用したり、発信したりする機会が増えている一方で、その仕組みについては関心を持たず、わからないまま使用している「ブラックボックス化」が問題視されています。プログラミング教育では、生活に関わるコンピュータに関心を向け、興味を持って触れていくような方向付けを行っていきます。

これからはAIなどの人工知能が台頭してくるため、それらを正しく使いこなしていけるような人材づくりが必要不可欠です。小学校からのプログラミング教育によって、その素地を作っていくことが求められています。

プログラミング教育で育む「プログラミング的思考」とは?

プログラミング教育のねらい

1.「プログラミング的思考」を育むこと

引用:小学校プログラミング教育の手引(第二版)

文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」では、プログラミング教育を行うねらいについて、第一に「プログラミング的思考を育むこと」としています。

「プログラミング的思考」とは、コンピュータがプログラムを実行していくように考えるさまのことを示しています。コンピュータはある問題を過程やテーマに応じて細かく分けて解決に導くよう処理をしていきます。時には繰り返し、時には条件によって処理を分岐させ論理的に実行していくのです。

プログラミング教育では、こういった処理の考え方を学ぶとともに、実際の社会の中でも応用して問題を解決していけるように促すねらいもあります。

実際に小学校ではどんなふうに学習を進めていくの?

「アンプラグド」から「ビジュアルプログラミング」へ

プログラミング学習のはじめは、導入として「アンプラグド」と呼ばれる、コンピュータを使用せずにプログラミングの仕組みについて学ぶのが一般的です。ゲームの要素を取り入れながら一つ一つの手順を明確にして計画を立てることや、命令を正しい順番に組み立てることを学び、基礎知識を広げていきます。

また、実際にコンピュータを使った学習では、「ビジュアルプログラミング」によって指示を組み立て、対象を動かす実習を行います。ビジュアルプログラミングでは、一つ一つの指示がブロック状に表現されるため、それらを積み木のように重ねて一連の動作に組み立てていきます。ブロックの色で機能が分類されているため使いやすく、子どもたちが考える動きを実現することに専念できる手法とされています。

小学校のプログラミング教育では、子どもたちがプログラミング言語を一から書いて組み立てていけるようにすること自体が目的ではないのですが、テキスト型プログラミング言語については、強い興味・関心を示す児童には取り組みやすい言語でのプログラミングを提示して、より学習を深めていけるような取り組みも考えられています。

どの段階の学習においても、試行錯誤を繰り返しながら、自分の考えたことを形にする体験を重視した授業構成が求められているのです。

それぞれの教科に取り入れられるプログラミング教育

プログラミング教育のねらい

3.教科等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとすること

引用:小学校プログラミング教育の手引(第二版)

「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」においては、各教科内でもプログラミング的思考を育む学習を取り入れていくことが予定されています。たとえば算数の図形の作成、理科の電気の単元、総合の情報分野の学習のほか、意外なところでは音楽や家庭科でプログラミングに触れることも例示されています。

実際にコンピュータに触れない授業においても、物事を論理的に考える、プログラミング的思考を育てるような授業が増えていくと考えられるでしょう。

あらゆる教科、分野でプログラミング教育が取り入れられることによって、コンピュータ化の流れ、ICT化の流れに流されず、受け身ではなく積極的に活用する人材を育てていくねらいがあります。

コンピュータに流されない、受け身にならない、積極的に活用する人になろう

2020年度のプログラミング教育開始が目前に迫っていますが、教育現場ではいまだに子どもたちに1台ずつのパソコンやタブレットがない環境にあったり、子どもたちの調べもの学習にパソコンを導入しても想定以上に時間がかかってしまったりなど、先生たちが試行錯誤している様子がうかがえます。

しかしながら、世の中のICT化の流れはとどまるところを知りません。小学校の教育現場においても、コンピュータの光と影の部分に焦点を当て学習し、それらを使いこなせる人材に育つようプログラミング的思考に触れることは大切なことです。

家庭でもSNSの使用について話し合う機会を設けたり、プログラミング教育のワークショップに出かけたり、楽しく学習できるようなきっかけを作ってあげると良いでしょう。